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都内在住、IT職フルタイム、1児の母。親に頼れず、夫は多忙のワンオペ育児。巷のメディアに取り上げられるワーキングマザーはスーパーウーマンすぎて身近に感じられない。普通の人でも、親に頼らなくても働くにはどうしたらいいのか考えています。生後5か月の子を認証園に預けて復職し、1歳で認可園に転園。復職から3年ほどの人が書いています。

「良心をもたない人たち 25人に1人という恐怖」

 昔、子どもが生まれるより前は、読書は趣味と決めていた。
(仕事の本は読まない、意識高い本は読まない、ミステリや娯楽小説を余暇に読むという意味で)

 

でも子どもが生まれ、復職してからは、自分の趣味だけに時間を使うことが難しくなった。
読書というのはあまり時間対効果が高い趣味ではないというのもある。
読めば続きが気になるし、同じ作者の他の本も読みたくなってしまうから、少ししかない余暇を使うには適さない気がした。

 

じゃあ趣味だけの読書をやめようと思い立ち、
ビジネス書からレシピ本、家事ノウハウやハンドクラフトの本までを
読み漁るようになったのが復職後のことだ。

熱中してしまう本は向かないけれど、ジャンルを選べば電車の中で細切れにも読める本はある。
セミナーや勉強会にあまり行けないぶん、ビジネス書を読んで補う。

効率よく家事をやるため、子どもの服を作るため、なるべく手抜きして掃除を片付けるため、
あらゆる目的に読書は役立った。

 

こう考えると読書はずいぶん役立つ趣味であるように思う。
前書きが長くなったけれど、最近読んで気になった本がこれだ。

 

良心をもたない人たち (草思社文庫)

良心をもたない人たち (草思社文庫)

 

 

タイトルがちょっとトンデモ本っぽく感じられるし、
自分が読んだハードカバー版は表紙の絵もちょっと怖くて、
誰かに勧められなければ読まなかった本だと思う。
読みながら誰かの顔を思い出してしまったり、自分の行動を振り返ったり、
自分の考えを揺さぶられるような気持ちになる本だった。

 

この本はサイコパスのことを「良心をもたない人」として紹介している。
自分は恥ずかしながら、サイコパスのことを漠然と「冷酷な殺人鬼」のような印象でとらえていた。
つまり、日常ではめったに出会うこともない、
主にミステリーなどに登場する存在として認識していたということになる。
この本を読む前なら、「身近にサイコパスがいたか?」と聞かれたら
そんな人には会ったことがない、と答えていたんじゃないだろうか。

本のサブタイトルにある通り、アメリカでは人口の4%(25人に1人)がサイコパスだと考えられているらしい。
25人に1人なら学校のクラスに必ず一人はいたことになるし、
子どもの保育園のクラスにだっているかもしれない。
(サイコパスは子どものころからサイコパスなのだろうか?)

 

欧米よりアジアの方が割合が低いらしいが、
それにしても今までの人生で1人も出会っていないということはない、はずだ。
サイコパスは凶悪な殺人犯というわけではなく、
フィクションの世界のように分かりやすい悪人面もしておらず、
むしろ高い地位や肩書きを持っている場合もあって、
普通に世界に溶け込んでいる、とこの本は指摘する。

 

たとえばスーパーで、頻繁ではないが稀でもなく見かける光景がある。
冷蔵で販売すべき商品が常温のお菓子の棚に置き座られていたり、
アイスケースの中にパンが放り込まれていたりするのを、
子どものいたずらかな?戻すのが面倒で手近に置いたのかな?と思っていたけれど
あれもサイコパスの仕業だったのかもしれない。
道端にごみを捨てたり、自転車を盗むのもそうなのかもしれない。

 

反社会性人格障害」の臨床診断では、以下の7つの特徴のうち、少なくとも3つを満たすことが条件とされている。
  1. 社会的規範に順応できない
  2. 人をだます、操作する
  3. 衝動的である、計画性がない
  4. カッとしやすい、攻撃的である
  5. 自分や他人の身の安全をまったく考えない
  6. 一貫した無責任さ
  7. 他の人を傷つけたり虐待したり、ものを盗んだりしたあとで、良心の呵責を感じない
サイコパス全体に共通するものとして、別の特徴をつけ加えた研究者と臨床家もいる。そのなかで最も目につく特徴の一つが、口の達者さと表面的な魅力である。

 

正直、1~7の特徴は、「これがサイコパスだ」と言われてもぴんと来ない。
社会的規範に順応できないのは、衝動的なものを除く犯罪者全般が当てはまる気がするし、
カッとしやすいとか無責任とかは特段珍しい特徴でもない。
良心の呵責を感じないかは本人にしか分からないし…
と思いながら読んで、「口の達者さと表面的な魅力」で何が分かったような気になった。

最初はすごく立派な人に見えるのに、しばらく付き合うと裏が見えてしまう人。
自分を良く見せる嘘ばかりつく人。
こういう人、いる。
サイコパスかは分からないけれど、漠然といやだなあと思っていた付き合いを
清算したほうがいいのかもしれないと思えた。

 

良心のない人に対処する13のルールから、なるほどと思ったものを抜粋する。

2.自分の直感と、相手の肩書――教育者、医師、指導者、動物愛好家、人道主義者、親ーーが伝えるものとの間で判断が分かれたら、自分の直感に従うこと。

3.どんな種類の関係であれ、新たなつきあいが始まったときは、相手の言葉、約束、責任について、「3回の原則」を当てはめてみること。
 1回の嘘、1回の約束不履行、1回の責任逃れは、誤解ということもありえる。(略)
 だが嘘が3回重なったら嘘つきの証拠であり、嘘は良心を欠いた行動のかなめだ。(略)
 あなたの お金や仕事や秘密や愛情を「3回裏切った相手」にゆだねてはならない。

6.必要なときは、尊敬の意味を自分に問い直すこと
 私たちは恐怖心を尊敬ととりちがえることが多い。

8.サイコパスから身を守る最良の方法は、相手を避けること、いかなる種類の連絡も絶つこと
 まずは、あなた自身の交友関係と社会生活から彼らをしめ出すこと。
 その行動は誰の気持ちも傷つけない。傷ついたふりはするかもしれないが、
 サイコパスに傷つくという感情はないのだ。

10.治らないものを、治そうとしないこと

13.しあわせに生きること
 それが最高の報復になる。