女性の活躍という言葉を見ると複雑な気持ちになる
女性が少ない業界であることは就職前から知っていた。
新卒で入社した会社は、新卒10人のうち女性が2名だった。その時点で20%。
先輩たちを見ても、女性は結婚か出産で殆どが辞めていく。
子どもがいる女性社員は一人だけだった。
会社は100名弱だったから、その女性社員は1%の存在ということになる。
就職したての20代のころ、「子どもがいる女性社員」は別世界の住人のようだった。
なぜ働いているのかなど考えたこともなかったし
子どもがいるからと遠慮もしない代わりに、特別扱いもしなかったように思う。
自分が結婚し、妊娠が分かり、それでも仕事を続けたいと思った時から
「たぶん大丈夫だろう」と思えた時などなかった気がする。
ずっと不安で、ずっと居場所がないように思っていた。
今は少し慣れて余裕もあるけれど、この先ずっと続けられる保証があるわけではない。
数年後には小1の壁が控えているし、
その先にもきっといろいろなことが起きるのだろう。
最近、女性の活躍とか女性の活用といったことが叫ばれ始め、
上司や周囲からそのような声掛けをされることも増えた。
違和感しかない。
「ぜひ後輩女性社員の見本となって」などと言われても、私と同じ生活を
後輩にさせたいとは少しも思えなくて困惑する。
私はいま結果的に幸せだけど、万人にとっての幸せの形がこうだとはとても思えない。
女性の活躍とは一体何なのだろう。
そう言ってくる方々(例外なく男性)は、「男性の活躍」と言われたら嬉しいのだろうか。
保育園に入れるか不安で、区営の駐輪場も抽選で、いつもいろいろなことが不安定で、
そうやって過ごしてきた時間を振り返るととても複雑な気持ちになる。
お前が同じ立場になってみろと叫びたくなる時もある。
でもたぶん善意で言っているのだと思えば泣きたくなる。
ウーマンリブとかそういう話をしたいわけじゃない。
私がただ普通に働いて子どももいて、特に注目されることもなく働ける世の中は来ないのか。
サラリーマンがいなくて、みんなが自営か農業をやっていた時代が理想郷だったのだろうか。
よく分からない。
仕事は好きだし、働く以上は頑張るし、評価されたいと思う。
でもそこにくっついてくる「子どもがいるのに頑張っている」という視線は
結局のところガラスの天井なんじゃないかと思えてならない。
バリキャリにもゆるキャリにもなれない半端さを思う。