私はいつおとなになったのだろう
子どものころ思っていた「大人」はもっと圧倒的な存在だった。
思春期になって中二病に陥って「大人なんてくだらない」なんて言っていたのも
圧倒的な存在だからわざと煽っていたのにほかならない。
でもいま、仕事を持ち結婚して子どももいる私が
確固たる存在の大人だとは、どうしても思えない。
でも大人なんだろうな、世間的にも。
大人でなければいけないのだろうな。
と思うと、私は一体いつおとなになったのかが分からない。
成人したときか?
でも成人式は他の卒業式なんかとおなじ、ただの式典だった。
飲酒したときか?
そんな深い感慨もなかったような気がする。
二十歳になった数日後、新規オープンした居酒屋に行って
身分証を求められて見せたことはなぜかよく覚えている。
就職したとき、実家を出たとき、結婚したとき、出産したとき。
どれもそのときは一大事だったけど、「これで大人なのだ」とは思わなかった気がする。
たとえば私が日常的に飲酒や喫煙やホストクラブ通いなんかの
大人しかできない行動をしていたら、もっと大人と思えたのかもしれない。
いや、そういうものでもないのだろうか。
「(妊娠・出産・授乳なんかの)なんだかんだで3年くらいお酒を飲んでいない」と言ったら
「すごい。尊敬する」と知人男性に言われた。
私からしたら、日常的に飲まなければやっていけないほどストレスフルな仕事をしている方が尊敬する。
「飲まなきゃ言えない話」なんかも私にはないしなあ。
私はいつか「ああ大人になった」と思えるのか、
そう思えないまま「年をとった」「近頃めっきり体力が落ちた」「寒さに弱くなった」とか思っちゃうのだろうか。