ついに来た(のか?)
子どもが生まれたばかりの頃から、いやもしかしたら生まれる前からずっと、
恐れていた日がついに来た、かもしれない。
正直、三歳児神話よりもっとおそろしい。
イヤイヤ期だ。
ヤダという言葉を覚え、乱発するようになった。
でも笑ってヤダ~と言いながら逃げまわるくらいで、たまに泣きながらヤダーということがあっても
「これがイヤイヤ期なら大したことはないな」と思える程度だった。
甘かった。
何かのきっかけでスイッチが入り、「イ゛ヤ゛ー!」と絶叫。
手当たり次第に物をなぎ払う。
なぎ払われないようにものを遠ざけるとますます怒る。
だっこー!おんぶー!あっちー!と要求を突きつけ、それを全部叶えても機嫌は直らない。
何かを訴えているのだけど、絶叫なのと、まだうまく喋れないのがあいまって、何を伝えたいのか分からない。
これが恐れていたイヤイヤ期なのだろうか。
思うに、イヤイヤ期がこわいのではない。
それは有限だし、命に関わることでもない。
こわいのは「正体の分からなさ」だ。
こんなにいつまでも泣き叫ぶなんて、どこか具合が悪いんだろうか?
こだわりが強いのは自閉傾向なんじゃないだろうか?
言いなりになってはいけないと思うあまり、厳しすぎるんだろうか?
あるいは甘すぎるんだろうか?
性格形成に何か重大な害を及ぼさないだろうか?
私の行動は正しいんだろうか?
そう思いながら子どもと過ごす時間が不安でこわい。
誰かが「今はそういう時期で、あなたの対応は間違ってない。耐えて」と言ってくれたら、
数か月か数年かは分からないけれど耐えられる気がする。
産前、腰の痛さがいつ治るか分からなかった日々や、
育休中、果たして仕事に戻れるんだろうかと不安だった日々もそうだった。
先が見えないことがつらい。
いつか笑い話になるのだろうか。
いや今も既に、マジギレしながらも「ぽいっ!」と口に出して物を投げ捨てるわが子の姿にクスっとしてしまう。
耐えろ、耐えろ私。