大人だって夢を見る、はずだ
こどもの頃はよく人に聞かれた。
「将来の夢は?」
だいたいの子どもが、職業の名前を答える。私もそうだったと思う。
小さい頃はお花屋さん。ケーキ屋さん。
小学生になり、大好きな先生ができてからは教師。
中学生の頃には精一杯背伸びして「夢なんてない」と冷めたことを言った(今思うと立派な中二病で恥ずかしい)。
大学に入り、卒業の1年くらい前、SEの知り合いができたことが理由で急にSEを志した。
そしてそのまま採用が決まり、私はプログラマーを経てSEになった。
私の夢は叶ったのだろうか。
SEになったあと、私の夢はどうなるのだろう。
今となっては、将来の夢がイコール職業ではないことは分かっている。
就職したらそれで終わりでもない。
大人だって夢を見るはずだ。
そう思いながらも、何を目標にしていいのかずっと分からずにいた。
仕事が火を吹いた時はその収束を目指す。
未知の分野の仕事をする時はその習得のために努力する。
それらはどれも短期的で目先のことで、夢ではない。
仕事を頑張ったら評価されたいし、その評価は立場や収入に反映してほしい。
でも組織の中で出世することが夢なのかと言われたら違う。
自分でアプリを作って世に出したいのだろうか?
起業して自分の城を持ちたいのだろうか?
高収入を目指して転職したいのか?
どれも何か違うと思った。
でも何を目指せばいいのか分からなかった。
今も分かっていないのだけど、夢があると感じられるものに出会った。
勉強会だ。
有志で開かれる技術の勉強会やハッカソン。
前から行きたいと思っていたけれど、自分のレベルで参加していいのか分からなくて
ずっと先延ばしにしていた。
いや、正直に言えば自分のレベルの低さを直視するのが怖かったし
他の人の話が高度すぎてついていけないのではないかと恐れてもいた。
でもいつまで続けられるかも分からない仕事だ。
恥をかいてもいいじゃないかと思い切って参加すると、ぜんぜん、怖くなかった。
仕事帰りの会社員、院卒でそのまま起業したという人や、フリーランスでバリバリ働くベテランSE。
いろいろな人達がいて、オープンな交流があって、熱意や好奇心があった。
ああなんて夢がある場所だろうと思った。
この人たちは何かを学ぼうとして、あるいは単に楽しもうとして集まっている。
慣れた会社の人や友達と飲む代わりに、技術の話をしにきている。
この人たちはみんな技術やモノやサービスを作ることが好きでならないんだろう。
こんなにわくわくすることがあるだろうか。
そこにいるだけで何かのパワーを分けてもらえた。
復職できるか分からず悩み、復職してからも今までのように働けず悩んだ。
将来が見えなくて今もふらふらしている。
そんな中で初めて「これだ」と思うものを見つけた気がした。
その方向に行けば何かがある、と漠然とでも思えた。
大人だって夢を見るはずだ。
私はこれから何になるのだろう。
親であることを全うするだけでも大変だろうし、それだけでもいいのかもしれない。
けれどやはり何かになりたい。
子どもとは別の人間として、自分も何かを目指していたい。