子どもとの生活は忍者の修行だ
子どもがいない友人知人から「子育てって大変でしょ」とよく言われる。
子どもを持つ人はみんな言われ慣れているのではないかと思う。
私も子どもを持つ前は漠然と、すごく大変なのだろう、と思っていた。
子どもがいる生活を考えるとき、自分が子どもだった頃読んだ文章を思い出す。
小学生くらいが読むように書かれた雑誌だか本だったか。
そこには、忍者になるための修行の方法が紹介されていた。
長いふんどしをつけて、それを引きずらないように走るだとか
水蜘蛛をつけて水の上を歩く訓練をするとかいう内容だった。
その中にこんなものがあった。
成長の早い植物(何だったかは忘れた)を植えて、毎日その上を跳び越える。
最初は楽だが、植物が育つうち難しくなってくる。
それを続けていくと、いつの間にか高く跳べるようになっているというものだ。
子どもが居る暮らしもこれに似ている、と思う。
もし子どもがいない状態から、いきなり今の生活をしろと言われたら難しい。
ごはんを作り、食べさせる。
子どもの支度をしながら自分も支度をする。
米袋より重くなった子を抱っこ紐で園まで送る。
この朝の3工程だけでもう無理だと思う。
生まれたばかりのころは母乳かミルクをあげればよかった。
勝手に動き回ることもなく、寝かせた場所に寝ていてくれた。
身支度に抵抗されることもなく、されたとしても力は弱かった。
体重は今の半分以下だった。
その状態から、徐々にレベルが上がっていって今の生活がある。
離乳食が始まったとき、ちょっと大変だなと思った。
そうこうするうち2回食になり、3回食になって食事を作る回数が増えた。
寝返りが始まったとき、うつぶせ寝で窒息したらどうしようかと心配した。
そのうちハイハイが始まり、歩くようになり、どんどん目が離せなくなった。
体重は順調に増えていった。(ありがたいことだ)
そうして今に至る。
振り返ればこの1年ちょっと、生活はずいぶんと様変わりした。
でも人は慣れてしまうのだ。
大変だなと思いながらも慣れる。
そしてまたレベルが上って、ちょっと大変だなと思いながら慣れる。
その繰り返しでここまで来た。
この先もきっとその繰り返しだろう。
だから、今のところ子どもとの生活は「すごく大変」ではない。
ちょっと大変、だけどすごく面白いなあと思っている。