「子どもが小さい間は、母親が友達と遊ぶのは無理だ」
「子どもが生まれてから友達と遊べていない。
月に1回くらい、友達と遊んだり食事に行ったりできたらいいのに」
第一子を出産し、最近復職したばかりの若い子がそう嘆いていた。
基本的に出不精で家が大好きな私ですら外に出たくなるから、
若くて社交的なその子はもっとそう思うのだろう。
それを聞いていた経営者の言葉が上記だ。
経営者には2人の子どもがいる。経営者の奥さんも働いている。
非常に、腹が立った。
言った内容にも、
子育ての先輩が言うこととしても、
経営者が言うこととしても腹が立った。
子育ては誰のものなのか。
出産は間違いなく女性のものだが、(男性が他人事でいては良くないという意味において)女性だけのものではない。
そして育児は間違いなく親双方のものだ。
女性だけのものではない。権利も義務も。
理屈だけいうと当たり前に聞こえるかもしれないが、私達の親の世代はまだ
「子育ては女性」「家庭を守るのは女性」な時代だった。
だから私も、子どもの頃は漠然と「女性は結婚して寿退職するもの」と思っていた気がする。
友人たちと話していても、「働くのは独身の間だけ」「結婚後はパート」という感覚が主流だったように思う。
それを選択する、というのではなくて、考えるまでもなくそう思っている状況。
刷り込みのようなものだろうか。
子どものころ見たアニメ、サザエさんやドラえもんに出てくるお母さんは
みな専業主婦だったからだろうか。
でも、いまいちど立ち止まって考えてみれば
専業主婦はどこにいるのだろう。
子どもがいる友人たちを思い浮かべてみても、働いている人が大多数だ。
交友範囲に偏りがあるのは承知のうえだが
それでもこの状況は私の身の回りだけではないと思う。
子どもを持って働く女性、働きたい女性は増えている。
待機児童のニュースもそれを物語る。
もう世の中は、専業主婦があたりまえ=主流の時代ではない。
子育てを女性だけのものにしておける状況ではなくなったということだ。
フルタイムでなければ保育園にはなかなか入れない。
フルタイムで働きながら、子どものことを全て女性がやるには無理がある。
女性だから、母性があるから何でもできるというわけではない。
(まやかしや都合のよさを感じるから、私は「母性本能」という言葉が嫌いだ)
子どもが小さいうちは、本当に遊びに行くことは無理かもしれない。
でもそんなことは夫婦で話して納得して決めることだ。
外野が無理と決めることではない。
だから腹が立った。
子育ての先輩として何か言うなら、
こうやれば時間が節約できるとかこんな工夫をして自分は頑張ったとか
そんなことを言ってほしい。
あとに続く者を勇気づけることができなくて、なんのための先輩か。
なんのための経営者か。
子どもをもった女性が働くことは、
周囲がその人を庇ったり半人前の仕事をさせることではない。
育児を男女両方のものだと認めることだ。
そこがスタートだと思う。