知らないということは本当に怖い
学生のころ、HTMLやCSS、jsを少し書いていた。
インターネットが普及し始めたばかりの、
電話回線でつないでテレホタイムを待ちわびていたような時間の話だ。
(あのころはモデムに接続した時間をカウントして
電話料金を教えてくれるソフトもあった。懐かしい)
そのころの知識は、就職してから画面周りを作るときに非常に役に立った。
それから幾星霜。
業務アプリにばかり携わってきた私は、あっさりした画面しか作ったことがなかった。
そもそも改修で関わると、CSSやjsを触ることなどめったになかった。
そして最近になってやっと、新しい技術に触れる機会が来た。
HTML5。CSS3。jqueryを初めとするライブラリ群。
私の知っているHTMLやCSSやjsとは見るからに違った。
技術は格段に進化していた。
よく考えるまでもなく、当たり前のことだ。
あのころ、待ちわびたテレホタイムが来て
夜中にNetscapeNavigatorで見ていたウェブサイトと
今見るウェブサイトの違いを考えれば分かる話だった。
でも考えようとしていなかった。
これは、仕事で必要ないから知ろうとしなかった私が怠惰で
技術職にある身としては恥ずかしい限りだと思う。
自省を込めてここに告白する。
私の上記に関する知識は、学生のころからほぼ増えていなかった。
そして怖いなと思ったのは、もし面談で
「JavaScriptやCSSは分かりますか?」
と聞かれたら、私は分かりますと答えていただろう。
相手が問うものとこちらが思うものの乖離が、その会話では分からない。
そしてそんなつもりもないのに、結果的に嘘をついたことになる。
これは怖い。
私は採用面接に出席させてもらうこともあるが、
面接する側にとってもこの恐怖は同じだ。
もちろん重要なことはもっと突っ込んだ会話をする。
でもまさか、相手が数年前の知識しかないとは思いもつかなければ
同じ仕事同士の気安さで
「あれだよあれ」「ああ、あれね」
という呼吸の会話になりかねない。
無知の知とはよく言ったものだ。
私は最新の技術を知らない。
それが分かってほんとうによかった。